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見たもの(主にテレビや映画)の感想、日常のどうでもいいこと、など。主婦の戯言。

君のためなら死ねる!(映画「愛と誠」感想)

映画「愛と誠」(2012)を見ました。

妻夫木が結構好きで、以前から見よう見ようと思ってたんですが、「昼顔」以来斎藤工にもすっかりハマっているので、勢いで。

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以下、ネタバレありのレビューです。長文です。


妻夫木、武井咲斎藤工の3人が出てるっていうことだけしか予備知識が無かったもんだから、いざ見たらびっくり。

なんというコメディー。
なんというミュージカル。
しかもバイオレンス。
悪趣味全開!


冒頭はアニメから。
主人公二人が幼い頃雪山で出会うシーン。
誠が愛を助けて傷を負う、っていう場面から実写へ移ります。

舞台は70年代の新宿…

まず妻夫木も武井咲も、いでたちがネタでしかないレベルのリアル70年代です。

妻夫木扮する誠はカツラもさもさ、学ラン着崩して、学帽を目深に被って登場。絵に書いたようなワル。

武井咲扮する愛は麻丘めぐみ姫カットで、可憐なお嬢様スタイルが似合ってる。

この時点である程度作品のタッチは掴めました。

が、更に冒頭で妻夫木がチンピラとケンカしながら歌い出したのでびっくり。

決してうまくはないのがまたびっくり。(たぶんこれも演出のうち…?)

ジャニーズコンサートでよくある「ダンスでケンカ」のテンションをまさか大衆映画で見られるなんてな!

しかし、作品の冒頭だったので、なんだかわからないうちに誠の歌唱シーンは終わります。

それがよかった。

なにしろ作中で唯一わりとマトモな人物だから。

これ作品中盤でやられたら、「おいおいお前もか」と思っちゃって、他のキャラに突っ込みしても説得力なくなっちゃうもの。

そしてなぜかその傍らで焚き火にあたって談笑しているお嬢様、愛。
ど、どういうシチュエーションなの…?

そこに警察が突入してきて(この勢いがまた昭和っぽい)、愛の余計なお世話のせいで誠は少年院へ。

しかしお金持ちの愛ちゃんはパパ(市村正親)にお願いして誠を出所させ、自分が通う名門校に転入させることに成功…すごいね。

漫画らしいトンデモ展開ですが、それをコメディー&ミュージカルにして昇華している、というのがこの作品のミソのようで。

実際原作漫画は超純愛シリアスものらしいです。読んでないけど。

しかしワルを更生させるべく奮闘する天然箱入り娘って部分や、
「彼は本当は心の優しい人なの!」ってセリフなど、
ついつい「ときめきトゥナイト」(←わたしの大好物漫画)の初期の蘭世と真壁君を彷彿とさせる…と思ったのは私だけ?

まぁ設定は全っ然違うけど!

そしてもちろん「愛と誠」の原作の方が先だけどね。

ワルと箱入り娘の組み合わせ、昭和の定番だったんだろうか、とふと思っただけ。


話は戻りまして。

誠が転入した名門校の生徒会長で、愛に片思いする横分け眼鏡くん、岩清水弘役が我らが(?)斎藤工さんです。

贔屓目なしに、この役とってもいい役。
おいしい役だし、斎藤工の演技が突き抜けてて最高。

斎藤工本人がこの役のことを「伝説のストーカー」とインタビューで言ってましたが、行動力が無駄にすごい。
しかしさっぱり相手にされず空回り。

「君のためなら死ねる」は名言すぎますね。

「空に 太陽が あるかぎり〜」と珍妙な振り付けでフルコーラス歌い踊りきる姿は圧巻です。

かっこいい斎藤工を期待したら残念だろうけど、この作品のコメディー部分をビジュアルから何からで引っ張ってると思う。

とにかく早乙女愛のためなら死ねる、をこれでもかってくらいゴリ押ししてきます。

献身的でいいやつなんだけどなぁ。


愛ちゃんの計らいで名門校に転入した誠くん、相変わらず担任(マエケン)に暴力ふるったり問題起こしてますが、最低限の生活費や家も愛ちゃんのパパから支給されます。

愛ちゃんにチキンラーメンを振舞われたり(卵は2個)、「さりげないシャツ」を貰ったり。

このあたりで、愛ちゃんは「あの素晴らしい愛をもう一度」をフルコーラス歌い踊ります。

「5と15と25と5の付く日はポイント2倍」とCMで歌っているあの歌声です。

明るくて可愛らしい。

このあたりのシーンが好きです結構。


さぁこれで万全、さっさと更生してね☆って感じなんだけど、誠はクズなので、金が足りないから持ってこいと愛に言います。

愛はパパとママ(一青窈/当たり前だけど歌ダントツでうまい)に頼めず、喫茶店でバイトすることに。

もちろん校則違反、そしてもちろん店はいかがわしい。

ミニスカ×ニーソのウエイトレス姿の愛ちゃん超かわいいです。

ダンス(エロくもなんともないw)をステージ上でお客に強要されたりしつつ、「誠さんのためよ!」と自らを奮い立たせて頑張る愛ちゃん。

にも関わらず、誠はその姿を盗撮し、愛のパパとママにチクってゆすって百万貰って、名門校を退学してヤンキーばりばりの学校へ転校してしまう。

誠まじ容赦ないクズっぷり!さすがワル!


でも愛はめげずに、誠を追ってヤンキー校に転入してしまいます。

ついでに岩清水くんも転入してしまいます。

岩清水くんに至っては、愛ちゃんが転入してるのを窓の向こうから双眼鏡で見つめて(!)、その場で転入を決意、からのその場で元いた学校の制服を脱ぎ捨て、即日転入というまじでわけわからん行動力です。

転入先のスケバンに頭をスリッパでバチーン!と何度も殴られますがめげません。

眼鏡をバカにすると眼鏡に泣くぞ!という名言も飛び出します。

斎藤さん体はりまくりです。


その転校先には、ガムを噛むスケバン・ガム子(安藤サクラ)、文学少女風の高原由紀(大野いと)、番長で由紀に惚れてる座王権太 (伊原剛志)がいて、その中でもナイスな役なのはガム子。

ガム子は転校してきた誠に絡み、返り討ちにあって、なぜかそこから誠に密かな恋心を抱くんだけど、それがいじましいと言うか。

権太に負けて入院する誠を見舞う際、切りっぱなしのひまわりを一輪持ってくるあたりが、不器用なガム子らしくて超可愛いw

そして中に由紀がいることを知って病室の前にそっと置いて行くあたりも、いい。

由紀はぱっと見大人しいんだけど、実は悲しい過去を背負った裏番っていう非常に大事な役。

なんだけど、まぁー、良くも悪くも大野いとですよw

うーん、ビジュアルはクール系美少女で悪くないんだけどなーw

まぁもうセリフ回しが、うん、ひどいw

歌も彼女が歌う「ゆめーはよーるーひらくー」のフルコーラスが一番長く感じたw

でもわざとですよね、きっと!演出ですよね!w

本の中に仕込んでるカミソリ?メス?みたいなやつを指に挟んで投げて攻撃、っていうのは良かったです、スケバン刑事を彷彿とさせる飛び技で。


はじめは由紀に心を開きかける誠。

誠は幼い頃母親(余貴美子)に捨てられた過去があり、母親に復讐しようとしていた。

新宿で飲み屋をしているが、酒癖が悪く、客に絡んでは警察沙汰になっている母親。

その姿を目の当たりにし、由紀に過去を語る誠。

なぜ私にそんなことを?と問う由紀に、誠は、悲しい女だから、と。

なぜかこのワードにカッチーンの由紀。

そんなん知らねーよwって感じだよなw

そんなこんなで、ひょんなことから誠は由紀から恨みを買い、命を狙われます。

誠をおびき出すため、愛を拉致する由紀とスケバン軍団。

岩清水の目の前で。

そして愛を助けに行くように誠を説得しに行く岩清水。

ここが本当に、この作品で2番目にいいシーンだと思う。

「そんなに助けたいならお前がいけよ」
「あいつのためなら死ねるんだろ」
「俺が行ったらあの女ますます俺に惚れちまうぜ。」

みたいなことを言う誠に、

「彼女のためなら死ねるのは本当だ、けど僕が死んだらただの自己満足だ」
「僕は彼女を助けたいんだ、それには君じゃなきゃダメなんだ」

みたいなことを言う岩清水。

めっちゃええ奴やないか!

自分の非力さを自覚して、ライバルに土下座して頼むなんてさー。

ただのキモ眼鏡じゃないんだよ岩清水!

私なら絶対岩清水と付き合うのに愛ちゃんはおバカさんだわ。


そしておびき寄せられた誠くん。

「私のことはいいから!」
と言いつつ、あぶない目に合いかけると
「きゃー!助けてー!」
と叫ぶ面倒くさい女、愛ちゃんw

由紀と愛ちゃんと誠のコントのような押し問答がありつつ、スケバン、更には権太率いるチンピラとの抗争に発展。

このあたりはしつこいくらいのバイオレンス。

なりふり構わず殴りまくり蹴りまくりで、一人でたぶん何十人も倒す誠。つえー。

権太にやられかけるも、謎のNGワード「その傷月光仮面みてぇだな」にカッチーン&覚醒して見事誠の勝利。

そしてラスボス由紀。前述のとおりの飛び技で、なんと愛ちゃんが負傷。

誠も負傷しながらも、なんとか形勢逆転。

とどめを刺そうとする誠、でも愛に止められて踏みとどまる。

駆けつけた岩清水(どうやって来たw)に愛を託し、誠は自分を捨てた母親の元へ。


母親は人生に絶望し、踏切に侵入して自殺を図ろうとしていた。

誠はそんな母親に後ろから抱きつき、押さえつけ、心中しようとする。

母親はここにいるのが自分の息子だとは気づかない。

電車が迫りくる中、叫ぶ母親。

「助けて!誠!おかあちゃんまだ死にたくないよぉ!」

その一言に動かされ、誠は母親を抱いて電車をよける。

「気が変わったよ、おふくろ」

と言って去って行く誠。


…このシーンがまじですごい。

余貴美子と妻夫木の一騎打ちというか。

この作品の中で間違いなく1番のシーンだと思う。

何が原因で捨てられたり復讐しようと思ったりしたのかの説明は作中ではないんだけど、原作ではあるんだろうか?

でもそれ無しでも二人の迫真の演技でカバーできちゃってるから凄いです。


そして誠は一人、愛の元へ向かう。

んだけど、ここで後ろから現れた男に背中を刺されちゃう。

…え、お前誰だよ?

ってたぶん誰もが思ったと思うw

ちょい役もいいとこのマエケンでしたw

序盤で殴られた腹いせかな???

一瞬すぎてよくわかりませんが、誠は傷を負いながらも愛の元へたどり着きます。

愛のそばに付き添っていた岩清水は気を使って退場…したあとで、誠の後ろに血痕が続いていることに気付く。

愛を抱きしめる誠。
来てくれたのよね、勘違いじゃないのよね、と幸せを噛み締め、誠の腕の中で微笑む愛。

誠の腕に力がなくなり…

というところで幼い頃の回想シーンが再び入り、物語は終わります。

シリアスなシーンもあるけど、間にそれぞれの役の歌唱シーンや、小ネタもあって、基本的にはコメディータッチだったのでサクッと見られました。

最後のシーンは美しかったなー。

もう少し誠の感情の移り変わり(特に愛に対しての)が丁寧に描かれていれば良かったとは思うけど。

その分、岩清水やガム子の心情がすごく良く表れてて、そっちに感情移入してたなぁ。

武井咲は今まであんま興味なかったし、演技うまいほうだと思ったことはなかったけど、この愛の役はすごくハマってたと思う。

ザ・ヒロインって感じ。声も可愛いし。

お嬢様口調もわざとらしくないし。


歌唱シーンが長いとか、バイオレンス描写が〜とか色々思う人もいるんだろうし、
言い出したらキリがないんだろうけど、
飽きずにサクッと見れて、あのシーンが良かった、あの役が良かった、って箇条書き的にだけど良い印象持てる映画でした。

バイオレンス、ほんとは苦手だけどね〜。

全体的には単純に楽しかった。

長々とネタバレ失礼しました。